ISディジタル辞典-重要用語の基礎知識-第二版

地球環境の情報システム

チキュウカンキョウノジョウホウシステム

Information systems on global environment

概要

気候・災害・生態系など地球環境の情報採取と配信に関わる情報システムであり,国際的な取り組みが重視される。

説明

気候・災害・生態系などに関する情報採取と配信を行い,人類や生物の生活圏における安心・安全を確保するために活用される。大気汚染問題では大気汚染物質広域監視システムが開発され,大気汚染物質と花粉症との関係が問題になると花粉観測システムが開発されるなど,地球環境に関わるシステムは社会的な問題の取り組みから始まっている。酸性雨や放射線を自動連続モニタリングする環境監視システムや,海面や海中の水温を測定してエルニーニョの発生を予測するシステムなどは,国際協力によって運用される。第3回地球観測サミットで10年実施計画が承認された全地球観測システムのように,技術優先から利用者ニーズを重視した開発へと転換されたものもある。食料生産,水資源の需給,危険物質による人間や生態系への脅威,生物の多様性,気候変動による陸域生態系への影響などを調査する全球陸上観測システムもある。一般に現場から採取されるデータと衛星観測によって広範囲から連続的に採取されるデータを比較し校正することによって精度が向上しているといわれる。なお,気象の解析や地球環境モニタリングなどのように広域で生活環境を監視する情報システムには大規模なデータ処理が必要となる。これを支援するために大容量で高性能なコンピュータが必要になり,グリッドコンピューティングが考え出された。