ISディジタル辞典-重要用語の基礎知識-第二版

ソフトシステム方法論

ソフトシステムホウホウロン

Soft systems methodology

概要

1970年代に英国ランカスタ大学教授ピーターチェックランドを中心としたグループによって開発された,問題状況に関わる人々の間に原則として終わることのない学習のサイクルを活性化させる,行為指向の学習のための方法論。

説明

この学習のサイクルは,Purposeful Activity(「思いの活動」)と現実を比較する過程での気づきを基にした学習1と,その学習1から導かれたアクションプランを実践した時の行為の中での気づき(learning by doing)を基にした学習2を基本としている。そしてこれらの学習を基に問題状況に関わる人々が,各自の現状に対する捉え方を変化させると同時に,アクションプランを実施することによって現状を改革する「問題解決」の方法論でもある。このように問題状況と当事者の行為的な関わりを扱うという意味で,アクションリサーチの有力な方法論と言われている。SSMは,現実世界の問題解決において何が問題かの共通の認識があるハードシステムズ方法論(システムズエンジニアリングSE(Systems Engineering),システムズアナリシス:SA(Systems Analysis),オペレーションズリサーチ:OR(Operations Research)など)を問題自体が多様なマネジメントの問題状況に適用した時の失敗から得た,問題状況に関わる人々の間で何の問題かを合意する必要があるという学びを基に,ハードシステムズ方法論の理論的枠組みを見直すことで誕生した。ハードシステムズ方法論が,現実世界を相互に作用し合う複数のシステム(systems)からなると捉え,それらのシステムが目指す目的に対する問題は個々のシステムを調整することで解決できるという理論的枠組みであるのに対し,SSMは,問題状況を探索するプロセスにHuman Activity System(人間活動システム)を取り入れたシステム思考を適用し,何の問題かを学ぶプロセスをシステミック(systemic)かつ自己生産的に組織化できるということを理論的枠組みとする。したがって問題解決の技法という意味でのSSMは,SSMは何の問題かを探索するというwhatに焦点を当てたアプローチである(ハードシステムズ方法論は定義された問題を効率良く解決する方法を選択するというhowに焦点を当てたアプローチである)。この探索プロセスの一つの表現がセブン・ステージモデルである。