因果ループ図
インガループズ
Causal loop diagram
概要
Peter M. Sengeが提唱したシステムのダイナミクスを表現する図法の一つ。
説明
因果ループ図を書く手順は,概略次のとおり。対象システムのダイナミクスを表すのに適当な重要変数(variables of interest)を一つ以上取り上げる。2つの重要変数間に因果関係がある場合,その間を矢印でリンクした上で,その作用の方向を明示する。作用の方向には,原因側変数の変化が結果側変数に対して同じ方向に作用する(増加すれば増加する,減少すれば減少する)タイプ(same, “S”)と,逆方向に作用するタイプ(opposite, ”O”)2種類のリンクがある。これに因果関係が遅れて作用する「遅れ」を加える。
Sタイプのリンクだけでループが形成されている場合,そこに参加している重要変数値は漸進的に強化(または弱化)されて,その系は増大(または縮小)する。この系を自己強化型(Reinforcement)ループといい,そのループの中に”R”とかく。SタイプとOタイプのリンクが混在しているとき,そこに参加している重要変数値の時間的変化は予測できないが,おおむね安定に向かうと見なしてバランス(Balancing)ループといい,”B”と書く。システム思考,システムダイナミクスを参照のこと。
参考文献
- Senge,P. M.: The Fifth Discipline, Doubleday Business (1990). 守部信之訳:最強組織の法則,徳間書店 (1995).
- Kim, D. and Anderson, V.著,ニューチャーネットワークス監訳:システム・シンキングトレーニングブック,日本能率協会マネジメントセンター (2002).
最終更新日
- 2019.12.01.
- 児玉公信 (編集委員会編)