正統的周辺参加論
セイトウテキシュウヘンサンカロン
Theory on legitimate peripheral participation
概要
カリフォルニア大学バークレー校の教育学教授ジーン・レイヴとパロ・アルト学習研究所研究員エティエンヌ・ウェンガー1)によって知られた教育理論。
説明
正統的周辺参加では,「学習」を「知識の伝搬」とは見なさない。学習者は,否応なく実践者の共同体に参加するものであり,また,知識や技能の習得には,新参者が共同体の社会文化的実践の十全的参加へと移行してゆくことが必須であるとする。「周辺参加」とは,最初は周辺的な分担であった新参者が,学習の進展とともに,徐々に中核部を担当することを言う。正統的周辺参加では,「学習」の意味を,従前の「知識の伝搬」と捉える視点から,「社会的な活動の中において,役割を果たせること」とパラダイムシフトさせた。結果として,「学習」と「教育」は分離される。正統的周辺参加では,古参者(ファシリテータ)は必須である。しかし,古参者が「知識」を小出しにすれば学習できるというものではない。教師が本物の世界を見せて,その実践の場への参加の軌道を作り上げて,かつ,新参者が,自らの意志をもって自らを変えてゆくべく参加して初めて「共同参画者」となる。古参者と学習者は,相互に影響を与え合って社会を構成する。その中で,「学習」は学習者自身の営みであって,本人が学ぶという営みをどういう「コト」(実践)としているかが学習を左右する。LPPと略すことがある。
参考文献
- Lave, J. and Wenger, E.: Situated Learning : Legitimate Peripheral Participation, Cambridge University Press (1991).
最終更新日
- 2019.12.01.
- 金田重郎 (編集委員会編)