創発/創発特性
ソウハツ/ソウハツトクセイ
Emergence / Emergent property
概要
複数の要素が互いに影響を及ぼし合う際に全体として現れる特性。
説明
各々の要素単体では持っていない特性が実現されることを創発という。また,それにより実現される特性のことを創発特性という。複雑なシステムの持つ特性が創発的な場合,その特性はシステムの各要素の性質や構成から実現されるものである。一方で,この特性をアブストラクションが下位のレベルのシステムの各要素の性質へ分解することはできない。通常,創発はシステムの最も高いレベルで観測される性質である。しかし,システムの要素自体がシステムとみなされる場合には,それらの要素が持つ特性も創発特性であることがある。人体を一つのシステムと捉えた場合,人体も創発特性を持つ。具体的な例として,人間の知恵は創発特性である。これは,人体を構成する各細胞がそれぞれ相互に作用し合って生じる特性である。しかし,知恵を各細胞が持つ性質に分解することはできない。創発は元来,生物学,物理学,社会学などで使われている言葉である。具体的な現象として,「アリの巣作り」,「物質の凍結」,「市場におけるバブルの発生」が例に挙げられる。
参考文献
- “INCOSE: Systems Engineering Handbook: A Guide for System Life Cycle Processes and Activities, 4th ed., John Wiley and Sons, Inc. (2015).
関連項目
最終更新日
- 2019.12.01.
- 嶋津恵子 (編集委員会編)