複雑性
フクザツセイ
Complexity
概要
システムがどのような振る舞いをするのかを理解したり,システムを修正したことによる振る舞いへの影響を予測したりすることがどれくらい難しいかを示す尺度。
説明
システム全体の振る舞いと個々のシステム要素の間の関係が単純でない場合や,さまざまな異なる目的を達成する要素がシステムを構成している時に生じやすい。また,複雑性は,システム自体に含まれる属性の数や関係性,システム要素の種類と多様性に影響される。これらが増えることによって,複雑性は増す。さらに,システム観測者の経験,知識,技能,その他社会政治的立場のような主観的認識にも影響される。同じシステムでも,観測者の主観的認識が異なることでその複雑性は増減する。複雑性は,そのシステムが持つ問題を悪化させる可能性があるので,システムの複雑性を減らすことが推奨される。複雑性は,本質的には”複雑な”システムとは異なる。自動車のシステムのような複雑なシステムは,部品間の相互作用の多くが既知であるため,システムの振る舞いが予測可能であり複雑性は低い。一方で,航空輸送システムのようなシステムは,部品間の相互作用が創発的な振る舞いを生み出し,システムが複雑化する。システムを複雑性の視点から見ることによって,システムの本質がが理解しやすくなることがある。
参考文献
- INCOSE: Systems Engineering Handbook: A Guide for System Life Cycle Processes and Activities, 4th ed., John Wiley and Sons, Inc. (2015).
- The BKCASE Governing Board:Guide to the Systems Engineering Body of Knowledge(SEBoK) version 1.9.1 (2018).
関連項目
最終更新日
- 2019.12.01.
- 嶋津恵子 (編集委員会編)