ISディジタル辞典-重要用語の基礎知識-第二版

オブジェクト指向開発

オブジェクトシコウカイハツ

Object-oriented development

概要

グラディ・ブーチ(Grady Booch),イヴァー・ヤコブソン(Ivar Jacobson),ジェームズ・ランボー(James Rumbaugh),ピーター・コード(Peter Coad)など多くの実務家により提唱された,オブジェクト指向技術にもとづく分析・設計モデリングと構築・保守を含んだ情報システムの開発方法論

説明

関連するデータ群と手続き群をカプセル化し公開インタフェースのみからアクセスさせる「オブジェクト」と呼ばれるモジュールと,それらの間のメッセージ送信による相互作用にもとづいて情報システムを構成する開発手法。各オブジェクトを必要に応じてさらに別のオブジェクト群で構成するアーキテクチャにもとづくことで,モジュールの凝集度を高くモジュール間の結合度は低くでき,保守性・再利用性が担保しやすい。そのため,反復的・段階的にシステムの分析・設計・実装・テストを進めていくことが容易となる。当初まちまちであった分析や設計のためのモデル記述のダイアグラム文法はUML(Unified Modeling Language)として統一された。業務プロセスを表すためのアクティビティ図,要求のためのユースケース図,ドメイン分析やシステム設計のためのクラス図,ライフサイクルを表すステートマシン図,相互作用を表すシーケンス図などがオブジェクト指向分析設計の活動の中で作成・保守され情報システムの一貫性を担保するのに役立てられる。UMLにもとづくオブジェクト指向開発手法自体も,のちにオブジェクト指向かつ反復型プロセスの統一方法論(Unified Method)として整理され,これは現在開発プロセスの大きな潮流となっているアジャイルプロセスを生むきっかけの一つとなった。

参考文献

  1. Grady Booch: Object-Oriented Analysis and Design with Applications (2nd Edition), Addison-Wesley (1993).
  2. Ivar Jacobson, Grady Booch, James Rumbaugh: The Unified Software Development Process, Addison-Wesley (1999).
  3. OMG: About the Unified Modeling Language Specification Version 2.5.1, 入手先<https://www.omg.org/spec/UML/About-UML/>.