ITガバナンス
アイティガバナンス
IT governance
概要
組織のITを管理するシステムの総称。
説明
ITガバナンスという概念は未だ論争的なものである。その主な原因は「ガバナンス」をめぐる定義が論者によって異なるからである。Rhodes[1997]によると,ガバナンスは,「企業統治としてのガバナンス」・「NPM(New Public Management)としてのガバナンス」・「グッド・ガバナンスとしてのガバナンス」・「社会的な自動制御システムとしてのガバナンス」・「自己組織化したネットワークとしてのガバナンス」・「最小国家としてのガバナンス」の六種類の文脈で使用されている。ITガバナンスは,主に「企業統治としてのガバナンス」において位置付けられるが,論者によっては別の文脈におけるガバナンスの観点からそれを位置付けるため,定義が確定しないと言える。ただし,2015年に,IT ガバナンスはJIS Q 38500として規定されている。これは,2008年に発行された「ISO/IEC38500:2008 International Standard for Corporate Governance of Information Technology(IT Governance)」に沿った内容となっている。ここでは,「ITガバナンス(corporate governance of IT):組織の IT の現在および将来の利用を指示し,管理するシステム」とされており,これは企業統治におけるガバナンスと平仄の合う規定となっている。
参考文献
- Rhodes,R.A.W. Understanding Governance: Policy Network, Governance, Reflexivity and Accountability, Open University Press (1997).
- JIS Q 38500 : 2015 情報技術 – ITガバナンス.
- ISO/IEC 38500:2015 Information technology – Governance of IT for the organization.
- 神橋 基博 :「ITガバナンス」概念の再検討,研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP),2019-EIP-83(8),pp.1-7 (2019).
- 原田要之助: ITガバナンスの評価について,情報処理学会第80回全国大会講演論文集,2018(1),pp.397-398 (2018).
最終更新日
- 2019.12.01.
- 本田正美 (編集委員会編)