ISディジタル辞典-重要用語の基礎知識-

階層分析法

カイソウブンセキホウ

Analytic hierarchy process

定義

曖昧な状況下での意志決定を支援するための手法の一つ。

説明

1971年にThomas L.Saatyが提唱した。一般に,政策決定においては,いくつかの代替案(選択枝)の中から一つを選び出すことが要求される。この場合,評価基準が一つしかなければ,代替案の選択は容易である。その基準で選択すればよい。しかし,通常は代替案が複数ある。しかも,着目した評価基準によって,代替案の優先順位は変化する。このような状況では,どの代替案を選んでも,別の評価基準ではより良さそうに見える第二の代替案が存在する。政策決定は,常に「堂々巡り」になる危険を内包している。この種の,評価基準が複数個あって,堂々巡りとなる問題を,「多基準決定問題」と呼ぶ。

AHPでは,多基準決定問題を次の4つのステップにより分析する。

  1. 代替案の良さをいくつかの評価基準に分類。
  2. それぞれの評価基準で,代替案を評価。
  3. 各評価基準による評価を総合して,総合評価を計算。
  4. 総合評価に基づいて,代替案から一つを選択。

なお,評価基準が一層の階層構成では説明できず,2層以上の階層構成をなす場合にも,AHPは対処できる。

文献

  1. 刀根薫:ゲーム感覚意志決定法 AHP入門,日科技連 (1985).
  2. 刀根薫,眞鍋龍太郎(編):階層化意志決定法 AHP事例集,日科技連 (1990).
  3. 木下栄蔵:入門AHP 決断と合意形成のテクニック,日科技連 (2000).
  4. 高萩栄一郎,中島伸之:Excelで学ぶAHP入門,オーム社 (2005).